文書作成日:2025/09/16
2025年10月1日より雇用保険の教育訓練休暇給付金が新たに始まります。そこで今回は、この内容を解説します。
[1]教育訓練休暇給付金とは
教育訓練休暇給付金は、従業員が離職することなく教育訓練に専念するため、自発的に休暇を取得して仕事から離れる場合に、基本手当に相当する給付として賃金の一定割合を支給するもので、訓練・休暇期間中の生活費を保障することを目的とした制度です。
この教育訓練休暇給付金の支給対象となる休暇は、以下の1〜3のすべての要件を満たしたものです。
- 就業規則等に規定された休暇制度に基づく休暇
- 従業員本人が教育訓練を受講するため自発的に取得することを希望し、会社の承認を得て取得する30日以上の無給の休暇
- 次に定める教育訓練等を受けるための休暇
- ・学校教育法に基づく大学、大学院、短大、専修学校または各種学校が提供する教育訓練等
・教育訓練給付金の指定講座を有する法人等が提供する教育訓練等
・職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの(語学留学など)
- ・学校教育法に基づく大学、大学院、短大、専修学校または各種学校が提供する教育訓練等
[2]給付金の対象となる従業員
支給対象となる従業員は、休暇開始前2年間に12ヶ月以上の雇用保険の被保険者期間があり、休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間がある人です。なお、過去に基本手当等を受給していた場合、通算できない期間が生じる等の注意点があります。
[3]給付額と給付日数
給付額は基本手当に相当するものであり、原則として休暇開始日前6ヶ月の賃金に応じて算定される賃金日額を基に、給付日額が算定されます。その上で、給付日額に休暇日数を乗じて給付額が算出されます。休暇日数の上限は、雇用保険に加入していた期間に応じて、以下の日数になります。
加入期間 | 5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
所定給付日数 | 90日 | 120日 | 180日 |
[4]活用事例
厚生労働省発行のリーフレット「教育訓練休暇給付金のご案内」では、以下のものが活用例として紹介されています。
- 外国企業とのコミュニケーションが必要となる部署への異動を想定し、語学の習得に専念するため教育訓練休暇を取得し、その際に教育訓練休暇給付金を活用する
- IT企業で勤務している労働者が、上位資格の取得のため、教育訓練休暇を取得し、その際に教育訓練休暇給付金を活用する
教育訓練休暇給付金は、会社に教育訓練休暇の制度が設けられていることが前提となります。従業員から制度を利用したいという申出が出てくる可能性があるため、制度の内容と、自社の制度として創設するかを検討しておきましょう。
■参考リンク
厚生労働省「教育訓練休暇給付金」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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